漆喰壁の裏②
前回作成しました実際の壁サンプルが養生期間を終えましたので、いよいよ実験スタート! の前にあらためて実験の目的を説明しておきます。
漆喰を塗る壁の下地の違いによる透湿性(水蒸気の透過率)の差はどの程度あるのか?
そもそも本当にちゃんと透過しているのか?を検証してみたいと思います。
その前に、、とある建築会社さんのHPで 『下地の石膏ボードには調湿性能はないので壁が調湿性能を補ってくれることはありません。塗り壁に調湿性能を期待するなら調湿性能の高い仕上げ材を塗りましょう』 なんて書いてありましたが、基本的に考え方がカンザキ建設とはまったく異なります。
表面に塗った漆喰だけで調湿完了=快適なんてありえません。
大前提として、温度・湿度は高きから低きに流れ、その反対はない。物理の法則です。
水蒸気は天の差配に従って動きます。
東京の冬、屋外の温度が5℃で湿度が25%とします。屋内では暖房で25℃湿度は40%とします。
飽和水蒸気量から湿度・水蒸気量を計算すると室内には約10g/㎥の水蒸気が漂っていることになり、屋内と比べると5倍以上の水蒸気が漂っています。これが高きから低きに、つまり外へと突進していきます。
壁がビニールクロスならその表面で結露します。漆喰の壁であれば透湿していき壁の中へと殺到します。
一部は窓ガラスに当たり飽和水蒸気量に耐えきれず、水滴となります。問題は壁の中に入った大量の水蒸気。これが外気(通気層)まで到達しないと壁内結露を起こします。
よくあるリフォームしようと壁を剥がしたらカビだらけ、柱も梁も腐っていた、なんてことに発展します。
しっかりとした無垢材で建てた木造住宅は結露がなければ100年どころか200年以上もって当たり前なのです。
東北地方で築200年以上の古民家が今も立派に残っています。
竹小舞の土壁に丸太梁。当時のつくりでは結露なんて全くないでしょうから。
現代の家で「結露のない」状態にするには「透湿する家」にすることが条件となります。
冒頭例にあげた建築会社さんは漆喰は使うけど合板や気密フィルムなんかを壁に使っているのかもしれないですね。(合板はかつら剥きした薄い単板を接着剤で貼り合したもので、接着面に有機系の膜があるため透湿しません)
結露する壁について、プロ以上の知識をご所望の方は山本順三先生著書の「究極断熱の家をつくる」P68の結露するバカの壁の章をご一読ください。
またも前置きが長くなってしまいました。大事な前置きだったのでご容赦ください。
さて、透過性の実験結果ですが、、、すみません。前置きがかなりの長文になってしまったので、結果報告はまたあらためてアップします。
実験中の画像だけ載せておきます。
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