shouji×void(障子と吹抜け)の設計
今回、新しくホームページの施工例にアップしたshouji×void(障子×吹抜け)を設計した倉茂です。
こちらの家の仕様で目立つところは、
断熱材がセルロースファイバー・床暖無し・1階のフローリングは杉無垢の厚さ30㎜を採用。かと思います。
杉無垢で厚さ30㎜を使用すると、ひんやりせず、立っているだけで自分の足の体温で床が暖まってくる体験をしましたので、お勧めさせて頂きました。
実際にフローリング杉無垢厚さ30㎜で以前建てたお客様の家に行って頂き、見て触れて、決めて頂きました。
杉は柔らかいので傷が付きやすいのですが、足ざわりも暖かく、厚みが30㎜もありますし、日本にたくさんある良い木材なのでもっと使ってよいと思います。
【玄関】 洗い出しの床です。
引き戸の引手と手摺の金物がブラック色。細かい話しですが、揃えたいところです。SICも右側に設けています。
2面で降りられるようになっています。普段は正面から上がり下がりになりますが、景色として感じが良いです。
【ダイニング】一番集ったり、くつろいだりする空間なので、なにか絵になるようにしたいといつも思う場所です。
こちらの場合は、杉でベンチを大工さんに作ってもらいました。
奥の腰板は少しだけ斜めにしています。「背もたれを斜めの角度にすると座り心地が良くなるよ」と棟梁がお勧めするので、お施主様と、じゃあ、、そんなに言うなら。。と採用しましたが、本当に全然違いました。
窓のサイズも、この空間のバランスに合うように特注サイズとし、ガラスも表面がゆらゆらしているタイプを選定。
そして!やっぱり一目を引くペンダント照明をいつも喜びながら選ぶのですが、今回は、アメリカのデザイナーGeorge Nelsonのバブルランプを採用しました。
ここは障子をメーンに使用していますので、素材の感じも当然合ってくるデザインと生地というのもありますし、照明のアカリが、障子から入る光にも似て、いいです。
名作ですね。いい形でもってこれて、大変良かったです。
【リビング吹抜け】少し遠目から。障子は自然光が、良いです。
障子のいいところは、カーテンと違って下からのスキマ風がないことと、静電気を起こさないところがあります。
そして、何よりもこの自然光が漆喰と合います。障子と漆喰は相性がいいです。同じ白でも質感の違う白色で、美しい陰影があるところも共通点です。
【キッチン】キッチンの背面も杉を使用しました。吊戸は少し上を開けることにより浮遊感を出しました。良い印象です。奥にパントリーもあります。
【階段下】有効でW83㎝程度ですが、そこに奥行き25㎝の可動棚を設けて、棚の前は58㎝となります。
ここは引き渡し前何度も出入りしましたが、狭いという感覚はありせんでした。
設計中は有効幅など深く考慮するのが基本ですが、60cm程度では、実際に生活していると狭いことすら気が付かないくらいかもしれません。
【2階廊下】この吹抜けの4面は、納まり図をかなり書いて挑み、棟梁もよく理解してくださり、美しくきまり良かったです。
化粧の柱と腰板の壁厚と笠木と障子の下端と、障子の上端が、、、。
建築の場合、パッと見スッキリ見えてくる納まりは、ディテールが複雑な場合が多いと思います。
【タタミスペース】柱を現した本格的な和室という形ではないですが、壁はお施主様ご指定の「しらす壁」としました。
カウンターと引違い窓が一体になっています。畳は井草と藁を使用しています。近年では藁を使用するケースは珍しいようです。
【洗面脱衣室と浴室】洗面台を造作しました。扉以外杉材です。正面はタイル一面に貼りました。面で貼るのは少し金額はかかりますが、感じがとても良いです。
照明と建具はtoolboxから購入。
浴室は在来浴室で青森ヒバ。タイルは名古屋モザイクの「オストゥーニ」という製品。床も壁も同じタイルで使える、ありそうで少ないタイルです。
【外観】外壁材はフッコーのマジックコート。パターンはプッツ。
こちらの外壁材はアイカなどに比べるとメジャーでないと思いますが、重量感というのでしょうか、趣がよくお勧めしています。
大きな屋根は日本瓦を使用し、1階部分の下野にはガルバリウム鋼板屋根とし、スッキリとした印象にしています。
そして、屋根は寄棟屋根ではあるのですが、通常の45度で斜めに上がるのではなく、家の隅を頂点としました。
図面で書くと私には想像以上に複雑で。。。この1年ほど、出歩くときはこのような屋根の納まりの家があるか気にして見てましたが、見当たりませんでした。笑
棟梁の腕が良く、キレイに納まり非常に嬉しかったです。
引き渡しの時に取った写真です。
左が私で右ご夫婦がお施主様。
初めまして、からお引渡しに至るまで1年少しかかっています。
色々な意味で尊敬する素敵なご夫婦です。
家造りは、お客様にとって、こちらにとっても、ですが、たくさんの選択肢から最善と思われるものを考え、決定していく大変な作業だと思いますが、楽しく、時には一緒に悩んで打合せをさせて頂いた日々でした。
完成した家を一緒に見ながら、ワクワクするような喜びの気持ちにお互いになれることは、家造りの目標ですので、非常に嬉しいことです。
引き続きよろしくお願いいたします。
倉茂